モノを介して

センサは校正しないと使い物にならない.センサネットワークでは数多のセンサをネットワークに接続する.これら全部のセンサを適宜校正しないと,次第に使い物にならなくなってくる.数多くのセンサを一つずつ手作業で校正するのは非現実的で,自動的に校正する枠組みが必要になる.

普通センサの校正は,基準となる対象を用意して,その対象を計った計測値が基準値となるようにしておこなう.例えば重量計の校正は,分銅を測って,その値が分銅の重さと一致するようにしておこなう.ところがセンサネットワークを自動校正しようとしても,そういった「基準」をセンサの数だけ用意するのは難しい.

基準を用意するのは難しくても,同一の対象を異なるセンサで測って,そのとき得られた計測値を比較すると,それらセンサの特性の違い(の傾向)を定量化することはできる.最尤推定の枠組みを使って,沢山のセンサの校正を自動的にすることができる.鍵は,同一の対象を複数のセンサで計測すること,そしてその結果を共有すること.

同一アイテムに対する反応の差の集積が,ネット上の「わたし」なのかもしれない.