小中学生に携帯電話を持たせない

http://sankei.jp.msn.com/life/education/080518/edc0805180329000-n1.htm

小5で19%、中2では43%が携帯電話を持っていた。

夜8時とか9時とかに仕事から帰る途中、塾帰りの小中学生を普通に見かける。数年前までは驚いてたけれども、残念ながら見慣れてしまった。彼ら・彼女らには親との連絡手段として携帯電話は必需品だろうと想像する。

「深夜でもメールのやりとりをする」という子供は中2で51%、小5でも11%いた。1日の携帯メールの送受信が「51通以上」と多い子も中2で16%いた。

深夜まで起きてることのほうが気になる。彼ら・彼女らから携帯を取り上げると、何をし始めるんだろう。早寝するようになるのかしらん。

少なくない子供たちは学校で屈託をもって過ごしている。

そういう子たちは、ふた昔前まで学校以外のコミュニティに逃避先を探していたのだと思うし、ひと昔前まではその逃避先にwebとかメールとか掲示板とかが機能できたんだろうと思うけど、今はどうなんだろう。ネットを介して家の中にまで学校の屈託が入り込み始めてるってな状況でなければ良いけれども。

webではなくメールが主な使われ方だとすると、携帯はコミュニケーション先を解放するツールではなく、学校のコミュニケーションのあり方を強化するツールになっているかもしれない。強化の仕方にも色々ありうるわけだけれども。…例えば試験前の携帯の使われ方を想像すると、携帯で互いに質問と回答をしあって試験勉強の効率を上げる子たちと、お互いに試験勉強をして「いない」ことを確認しあう子たちの、少なくとも二種類がありうる気がする。

驚くのは「会ったことがないメールだけの友達が5人以上いる」と答えた子供が中2で12%いたことだ。

これは、正負の面を足し合わせると、むしろ朗報に属する話かもしれない。未知の人たちとのゆるやかな連帯感のようなものを携帯を介して構築してる子たちが少なからず居るのかもしれない。学校で会って話す友達とのみ携帯でもやりとりする事態(家でも学校の友達とコミュニケートしなければならない事態)は、メディアの潜在能力を活かしきれていないという意味でヘボいし、学校が家に流入しているという意味で、うざかろう。

子供を保護しつつ、お手伝いとか労働とか、そういったもので社会性を学ばせる仕掛けがネットに欠落してるのは間違いないところではないかと思う。そして、そういう仕掛けの構築と実践には知恵と人手が必要なはずだと思う。

携帯を子供から取り上げたり「フィルタリング」のような自動処理に任せたりする発想は、ネットの引き起こした事態に向き合わず、子供とも向き合わない、知的に怠慢な態度かもしれない。

顔見える友人関係大切に

と、昨今の状況が子供の世界で閉じた話であるかのように振舞うことで、学校の屈託の強化に手を貸している可能性はゼロではない。でも、子供の保護が必要であるという問題設定には一票を投じたい。